慊焉的な蒙昧さゆえ
眼が辷るような最終話が
回送列車の中、揺られている
鮮明な夢のような、損な感覚
心拍する掌上の中
貴女の首を、ただ絞めている
博奕な恋
思い出は重い手で終わらせなくちゃ
未だ 硝子の管で日々を繋いでいる
最低な言葉を贈るよ
「僕なんて、死ねば善かった。」
最近は屹度だけ、貴女を手繰るだけ
心臓も眼球も鼓膜も
貴女の身體に植えられたら
自嘲していた
「トピアリーみたい。」
見世物に成り果てるなら
一層の事、贋物になろう
花奢な指先に触れている
辺鄙な好意
後悔とも呼べないような喪失感を
貴女を諦めきれず無為に縋っている
最低な日々を送ろう
誰にだって邪魔が出来ないような
二人きりの逃避行 貴女を拐って擧げる
死にたいなんて云う洗脳を
僕が取り払えるように
薬剤とC2H5OH
さあ、飲み干して
縦横無尽にきらめくライト
鳴り響く巡回車 警笛
「じゃあ、逃げよう?」
凡てを振り切って
「赤熱の火焔なんかよりも、
三六度五分の方がずっと温かいよ。
間違っているかな。」
ふたりきりでえいえんにいようね
はぐれないようにてをつないで
離さないでいて?
白い脂肪も筋肉組織も
吐き出しそうな鉄の匂いも
鼻腔が遮って愛惜しく感じている
悲劇的な喜劇の最後は
盛大な拍手とフィナーレ
逃避は大健闘
クローゼットにて